わたるデザイン企画

ことば力を身につける まとめ

2020.06.26

ことば力

読了目安時間:(約字)

こんにちは!こんばんわ!
札幌でフリーデザイナー・コーダー・コピーライターとして活動しています、わたるデザイン企画の五十嵐です!

これまで6回にわたって「ことば力を身につけるシリーズ」を書いてきましたが、第7回の今回で一度締めとなります。
最後は、これまでにお伝えしてきたことのまとめと、改めて「ことば力を身につけるとは何か?」ということを考えてみたいと思います。

ことば力の定義

まずはじめに確認したのは「ことば力とは何か?」ということでした。

ことば力とは「言葉」「言葉から成る文章」「言葉や文章ではあらわせられないこと」をひっくるめて考える力のこと、ということでしたね。

ポイントとなるのは、決して「言葉を扱う力」ではないということです。
どうしたらより効果的で円滑な言葉によるコミュニケーションを実現できるかという技術ではなく、それを考える力がことば力です。
なので、「ことば力を身につけたからコミュニケーションが上手になる」というものではありません。

ことば力は、この世界を解釈する一つの方法、モノの見方だと思った方が良いかもしれません。
物、事、人、感情、そういったものを全て「ことば」で解釈していく。少し理解しにくいかもしれませんが、僕はそういった意識でこのことば力について考えています。言い方を変えると「哲学」と言えるかもしれません。

とにかく、もっと「ことば」というものをよく考えてみましょうというのが、ことば力という言葉の意味です。

ことば力を磨く

次にお話ししたのは、ことば力を磨く4つ段階の習慣のことでした。

読む・書く・聞く・話す、という言葉に触れる基本的な4つの行動をの中で、ことば力を磨くために意識したいことをまとめました。

「読む」

1つ目の「読む」段階では、とにかくたくさんの言葉に触れることが大切です。

いわゆる「語彙力を高める」という段階で、1つの言葉からさらに関連する言葉を集めて、自分の中にたくさんの言葉を蓄えることが重要です。

この段階だけではその効果は実感できませんが、他の段階でことばを磨くためには絶対に欠かせないステップです。

「書く」

2つ目の「書く」段階は、「自分がどんな言葉を使っているか」を認識するための段階です。

これまでの自分がどんな言葉を使ってきたか、あるいは状況に応じてどう使う言葉が変わっているのかを客観的に認識するために、書いてそれを読むという行動が必要です。

また、1つ目の読む段階で増えた語彙を実際に使用できるようになるためのステップでもあります。

とにかく書く。そしてそれを読み返す。

その習慣をつけることが重要です。

「聞く」

3つ目は「聞く」段階です。

この段階は「他人がどんな言葉をどんな意味で使っているか」ということを知るステップです。「同じ言葉を使っていても、自分と他人では意味が違っている」ということを前提として、言葉と意味の関係性をたくさん増やしていくことが大切です。

「読む」「書く」段階と合わせて、自分の中に広大な言葉のネットワークを築き上げていくことで、「ことばの解釈の選択肢」を増やしていくことができます。

相手とその相手が使う言葉を徹底的に観察して、言葉の後ろにある背景を想像することが重要です。

「話す」

4つ目は「話す」段階で、他の3つの段階と少し違う性質がありました。

「ことばを扱うことは難しい、100%はないんだ」ということを自分に常に意識させるために「失敗」をしましょう、というのが「話す」段階の目的です。
どこかで満足することなく、ことばの探究を続けるための意識づけの段階ですね。

記事でお伝えするのを忘れていましたが、この段階にはもう一つ「発見する」という効果もあります。

これは自分と相手、両方がある程度「ことば力に関心がある状態」というのが条件ですが、複数人の会話の中で「言葉をミックス」することで、言葉に対する新しい解釈を見つけるという方法です。

悩み事や考え事を誰かに話しているうちに考えが整理されてすっきりした、もしくは新しいアイデアが生まれてきた、という経験はないでしょうか?

それは、自分と相手の「言葉と意味」のセットをミックスして、新しい「言葉と意味」のセットが生まれたことによる効果だと僕は考えています。

「読む」「書く」「聞く」の3つの段階を、複数人の間でライブセッションのように行うことで、そういった結果が生まれるのだと思います。

スティーブン・R・コヴィー博士の『7つの習慣』の中で「シナジー(相乗効果)を生む」ということが非常に重要な項目として出てきますが、僕はこの「話す」ことで生まれる「発見する」ということも、このシナジーの1つだと思います。

これは僕の中でもまだはっきりと整理できていなかったので、本編の方では触れませんでしたが、「ことばは人と人の間にあるもの」ということを深める上で重要なことだと考えています。

少し逸れてしまいましたが、これら4つの段階を継続的に実践することで、ことば力は磨かれていきます。

ことば力を身につける

福沢諭吉は「学問のすすめ」の中で「賢い人と愚かな人の差は学ぶか学ばないかである」と言っています。そして学ぶとは、生活の中で役に立つ「実学」を学ぶことだと言います。

実学には、いろは(読み書き)、地理学、物理学、歴史学、経済学、修身学などがあると書かれていますが、僕はこの「ことば力を身につける」ことも、実学だと思っています。

福沢諭吉は学問(実学)をするためにまず読み書きを教育しなければならないと言っています。

当時(明治の初期)から100年以上経った現代において、読み書きというのはある程度当たり前になりましたが、おそらく当時の人のことばに対する関心と、現代の人のことばに対する関心では大きな差があるのではないかと思います。

当時、何か事を成したいと思った人は、必死でことばを学んだに違いありません。そうしないと数多くの実学に触れることすらできないからです。
でも今は、多少の能力の差はあれど、日常生活に困るほど読み書きができない人は少ないです。「情報」と呼ばれるモノの大半は、わかりやすく伝わるように工夫がされて、誰でも「求めれば手に入る」状態です。

ことばは、努力して手に入れるものから、当たり前にあるものに変わったということでしょう。
それ自体は素晴らしいことだと思いますが、肝心の「実学」というものの価値はないがしろになってしまいました。

地理学や物理学を「生活の中で役に立つ」と認識している人は、ごくわずかだと思います。これは、学問の世界がより緻密に、細かく枝分かれしてきたこととも関係しているかもしれませんが、何にせよ残念な状況だと思います。

本来は多くの人が言葉を読み書きできるようになって、少しでも実学を学ぶ人が増えて欲しいというのが先人たちの願いだったはずです。

しかし、言葉を読み書きできるようになっても実学を学ぶ人は増えることはなかったように思います。時代がそういうふうに進んで来てしまったというほか無いと思いますが、僕はできれば、もう少し実学というものにもう少し関心を持つ人が増えて欲しいと思います。

今回「ことば力」というキーワードで、こうして記事を書いていこうと思ったのも、そういった考えがあったからです。

本当は図解なども交えてもっとわかりやすく伝えようとも思いましたが、大事なことは「わかりやすいこと」ではなくて、読む人に「自ら考えてもらえること」だと考え、全て文章でお伝えする方法を選びました。

まだまだ力不足を痛感しましたが、想いとしては全てつぎ込んで書いてきました。

今後は、今回のシリーズ記事を元に、改めてまとめて読んでもらえるものを作っていこうと考えています。そのためにももっと仕事や生活の中でことば力を磨く実践、そしてその磨いたことば力を使って何をするのか?という行動も続けていこうと思います。

そしてブログの中では、ことば力を磨く実践として、様々な記事を書いていこうと思っています。例えばテレビやネットの記事などで気になった言葉をピックアップして深堀りしてみたり、小説やビジネス書などの気になるキーワードを分析してみたり、そういった試みをしていこうと思います。

「ことば力を身につける」ということを通して、今一度、「実学」というものに関心を持ってもらえたらいいなと思います。

ここまで読んでいただいたみなさま、ありがとうございました!

今後もことば力に関心を持ってもらえるコンテンツを作っていきますので、お楽しみいただけたらと思います!

「ことば力を身につける」シリーズのバックナンバー

第一回 「ことば力」とは何か?
第二回 ことば力の磨き方
第三回 ことば力を磨く①「読む」
第四回 ことば力を磨く②「書く」
第五回 ことば力を磨く③「聞く」
第六回 ことば力を磨く④「話す」