わたるデザイン企画

ことば力を磨く②「書く」

2020.06.05

ことば力

読了目安時間:(約字)

こんにちは!こんばんわ!
札幌でフリーデザイナー・コーダー・コピーライターとして活動しています、わたるデザイン企画の五十嵐です!
「ことば力を身につけるシリーズ」の第四回は「ことば力を磨く②「書く」です。 前回までの記事をまだ読んでないよという方は是非こちらから読んでみてくださいね!

第一回 「ことば力」とは何か?
第二回 ことば力の磨き方
第三回 ことば力を磨く①「読む」

さて、前回の「読む」はとにかくたくさんの言葉に触れましょうということでしたが、今回の「書く」はどのようなことでしょうか?
読むことも書くことも苦手意識を持っている人はそれなりに多くいるかと思います。学生時代の国語の勉強が楽しくないものですから、読み書きが嫌いになっても仕方ないでしょう。
ですが 今回の「書く」と聞いて早速アレルギー反応が出てしまっている人も、安心してください。 この段階での「書く」ということは、通常のアウトプットとしての書くことよりも、“インプット”としての意味合いが強くなっています。
書いたものを人に見せたり読ませたりする必要がないので、「文章が下手だから読まれたくない…」といった悩みは無用です。
では具体的にみていきましょう!

自分の言葉を読む

この段階での「書く」ことの意味は「自分の言葉を読む」ことにあります。 先ほどインプットの意味合いが強いと言ったのはそのためです。
書くことそのものが目的なのではなく、自分で書いた言葉を自分で読むことが大事なのです。 だから、どちらかといえば1段階目の「読む」ことの延長線上のことをすると思ってもらって良いです。

なぜ自分の言葉を読むことが大切かというと、「自分がどんな言葉を使っているのか?」ということを意識する習慣を身につけることがとても重要だからです。
普段自分が使っている言葉は、無意識のうちに「かたよった」ものになります。仕事上の専門用語をつかった会話や家庭での子供との会話、友人との会話など、その時々のコミュニティ内での会話をスムーズにするための言葉であったり、こうしたブログやキチッとした文章、慣れ親しんだ相手とのチャットなど、相手や場面によっておおよその使う言葉が決まってきます。
この世にある無数の言葉の中から無意識に使う言葉を選ぶということはなかなかに凄いことだと思いますが、そのことを意識できる人というのはほとんどいません。

もし意識できるとしたら、「コミュニケーションがうまくいかない時」でしょうか。
例えば、自社の強みやサービスの内容を伝えようと思った時、なかなかうまく伝えられなかった経験はありませんか? その時に「どうしてうまく伝えられなかったのだろう?」と考えることができたなら「自分たちにしかわからない専門用語をふんだんに使っていた」ことに気がつくかもしれません。

そんな風に、「自分がどんな言葉を無意識に使っているのか?」を考えることは、コミュニケーションの問題点を洗い出すことにも役立ちます。 「自分が使っている言葉を知る」ことは非常に重要なことなのがわかっていただけるかと思います。

使える言葉が増えていく

「書く」ことのもう一つの役割は、自分の使う言葉が増えていくことを実感することです。
1つ目の読む段階を繰り返していくと、徐々に使える言葉が増えていきます。しかし、実際に書くことをしてみないとそれを実感することはできないし、一度も自分で使っていない言葉はいざという時に出てきてくれません。せっかく引き出しに入っていても、その引き出しが錆びて固まって開けなければ意味がありません。
書くことによって、徐々に自分の引き出しから新しい言葉が出てくるようになります。そのことを実感できれば、読むこともまた楽しんでできるようになります。
ことば力を磨く4つの段階を習慣化するためにも、この書く段階はとても大切だということですね。

何を書くのか?

では具体的に「何を」書けばいいのでしょうか?
結論から言えばなんでも良いです。日記のように取り止めもなく思うことを書いても良いですし、自分の仕事や趣味のことをまとめたり、なんでも良いです。
でもそれではとっかかりがないので、何を書くと良いかのアイデアをいくつかお教えしようと思いますが、その前に考え方のポイントを説明しようと思います。

後で読み返す

最初にお話ししたように、書くことの真の目的は自分で読むことですから、前提として必ず後で読み返してください。
書いて放っておいては効果は半分以下になってしまうのではないでしょうか。それくらい後で読むことは大切です。定期的に、そんなに頻繁でなくても良いので自分で書いたものを読むようにしましょう。

書いた日付も記録しておく

何を書くかよりもとにかくこれが大事です。
前述した通り、書くことによって自分の使える言葉が増えていくことを実感できるのですが、あとで読んだ時にそれが「いつ書いたものか」がわからないとその実感が薄れます。
毎回日付を記入しなくても、例えばノートの表紙にいつから使い始めたかの日付を書いておくなどして、書いた時期がわかるようにしましょう。

できれば紙とペンで

PCやスマホ、タブレットなどのアプリケーションを使用すれば、日付も自動的に管理されるし、いつでもどこでも書けていいよね!とは思うのですが、できれば紙とペンを使って書く習慣も取り入れて欲しいと思います。
これに関しては僕個人だけなのかわかりませんが、PCなどで書く場合と手書きとでは「使う言葉に違いがある」ことがあります。手書きの方がより感情がのるというか、より細かい表現ができる気がします。

それでいうとこれは確実な違いですが、手書きだとその時の筆跡からもいろいろなことがわかります。僕は高校生の頃に一時期日記をつけていたのですが、まぁ多感なお年頃ですよ、とにかくなぐり書きしたように激しい文字の時があったり、打って変わってしっとりと丁寧に書いていたり、その時々の感情の波が手にとるようにわかります。PCなどのタイピングした文字ではなかなかそれは表現できません。
その代わりよりいろんな言葉を使ってその気持ちの微妙な波を表現しようとすることにもなるので、どちらにも良い点はあるかと思いますが、どちらかの方法にだけ偏るのはもったいないかなと思います。
学生を卒業すると一気に手書きで文章を書く機会が減っていると思いますので、意識して手書きに挑戦してみてください。

書くことを習慣化するためのアイデア

ようやく、具体的に何を書けば良いのかというアイデアのお話です。 僕がやってきたことを踏まえていくつかご紹介いたします。

日記

誰にも見せない書くもの、と言えばやはり日記が筆頭でしょう。
すでに習慣的に書いているという方もいるかもしれませんが、どうでしょう?どれだけの方が日記を「継続して」いるでしょうかね?多分そんなに多くはないと思います。

書くことの習慣として日記を取り入れる時は、毎日書くぞ!という向かうところのない目標は無理が出るのでやめましょう。週に一回とか曜日を決めるとかもおすすめしません。
仕事やプライベートで特筆すべき出来事があった時に書く、というのが一番おすすめです。「すごい楽しかった!」とか「ものすごい失敗した!」とか、忘れないように後の自分に残しておいてあげたいことがあったら書くという意識です。 他にも共通するのですが、「書かなきゃ」とかそういう意識でやろうとするとどこかで嫌になる時がきます。
なるべく「書きたいな」という状況を作ることを意識するといいと思います。

ちなみに、僕は高校生の時に書いていた日記も、ニート時代に不定期に書いていた日記も残っていて、とても他人には見せられないような恥ずかしい内容ですが、それでも今とどれだけ使う言葉が違うか、どれだけ精神的に成長しているかがわかるので、貴重な財産としていまだに保管してあります。

考え事

仕事や家のことで何か考えることってありますよね?

「あのお客さんにはどんな対応をすればいいかな…?」
「そろそろ家を建てたいな…」
「今日の晩ご飯はどうしようかな…」

などなど、普通に生活しているだけでもいろんなことを考えると思いますが、その時、紙とペンを持って考える習慣をつけるのがおすすめです。
人は頭で考える時も言葉を使っています。「あれがこーで、それがあーで…」と、誰に話すでもなく頭の中で言葉が飛び交っています。
それを紙の上に書き出していくだけ、それだけでよいのです。それを会社の上司にプレゼンしたりするのにつかうわけではないので、本当に頭に浮かんだ言葉をそのまま、文章の体裁など気にせずに書いていけばよいです。

僕はこれが一番書くことを習慣化しやすい方法だと思っています。
実際、僕はこれをやり始めてから毎日、必ず何かしら書くことをしています。 僕自身が描くことが好きだからとかそういうことではなくて、書くことと考えることがセットになっているので、何か仕事でもなんでも考えるときには何かを書く、という習慣になっているのです。

時々、考え事をする時に絵や写真、映像をイメージするタイプの人もいるので、全員におすすめできるわけではありませんが、逆にそういった言葉ではなくて視覚的なイメージで思考する人も、言葉で思考する訓練としてこの方法を取り入れても良いかもしれません。

会話や発表を録音する

読む段階の話と同じで、文字を書くことだけでなく声に出して発する言葉を聞くことも効果的な方法です。
これはなかなか習慣化するというのは難しいかもしれませんが、例えば打ち合わせを録音したり、何かプレゼンや発表する機会がある時に録画や録音をしておいて、後で聞いてみることで、自分が無意識にどんな言葉を使っているのかがより鮮明にわかります。

自分の口癖やよく使う単語などがわかると同時に、自分が使う言葉が何に影響を受けているか?がわかることもあります。自分と近しい職場の上司であったり、奥さんや恋人であったり、よく見るユーチューバーであったり、何かしら誰かしらの影響を受けているものなので、それを実覚することにも役立ちます。

読書感想文

苦手意識をゴリゴリに喚起するキーワードですね。「読書感想文」。
読書も感想文も苦手だと思うのも無理はありませんが、逆に読書自体に抵抗がない人であればとても効果的な習慣を作れます。
1つ目の段階の読むことと、2つ目の段階の書くことを同時に習慣できるわけですから、そりゃあ効果的です。

コツとしては、これもあまり気合を入れすぎないことです。 とりあえず「面白かった」とか「つまらなかった」から始めてもよいと思います。そのうちにどうしても色々と書きたい本に巡り合った時にかけるだけ書けば良いと思います。

まとめ

いかがでしょうか?書くことを習慣化できそうでしょうか?
考えるポイントとしては以下の2つくらいを最低限抑えればよいと思います。

・クオリティ度外視、脈絡がなくてOK
・必ずいつか読み返す

この2点を意識できれば、そのうち書くことに抵抗がなくなり、習慣化できるのではないかと思います。
あとは、新たに何かを書く前に、すでに過去に書いたものがないか探してみるのも良いかと思います。 過去の自分がどういった言葉を使ってきたのか、自分の言葉を読むという意識で見てみると、これまでと違った見え方がすると思います。

1段階目の「読む」ことと今回の「書く」こと、この2つを繰り返すだけでもどんどんと自分の使える言葉が増えていくのがわかると思います。

ここまでの段階であなたの言葉の世界はとても広くなっていきます。
次の「聞く」段階からは広くなった言葉の世界に「深さ」を与える段階になります。

乞うご期待!