わたるデザイン企画

「ことば力」とは何か?

2020.05.15

ことば力

読了目安時間:(約字)

こんにちは!
札幌でフリーデザイナー・コーダー・コピーライターとして活動しています、わたるデザイン企画の五十嵐です!
今日から「ことば力を身につけるシリーズ」と称して、これからの時代に重要な「ことば力」について書いていこうと思います。 まず第一回は、ことば力とは何か?そしてことば力が必要な理由についてお話しします。

ことば力とは何か?

ことば力とは、言葉を扱う力のことです。 「文章力」という言葉もありますが、今回はあえて「ことば力」です。

文章力と言うと「言葉を使って文章を作る力」という意味が濃くなると僕は思っていて、今回僕がお伝えしたい「ことば力」は文章だけでなくて会話や言葉そのもの(単語と言った方が適切かも)に関する総合的な力なので、あえて文章力とは差別化をしています。

また、「言葉力」でなく「ことば力」にしたのにも理由があります。

一つは漢字が持つ力を意識して欲しかったからです。 言葉の以前に漢字というものは、それ単体で意味を持ちます。何気なく使う言葉も、平仮名か漢字かもしくはカタカナか、その見た目で感じる印象は大きく変わってきます。
今回の「ことば力」を身につけるシリーズではそういったことも意識してもらいたいので、あえて平仮名でことば力としました。

もう一つは「ことば力」と書くことで「ことばか」と見えて、可愛らしいからです。
先ほど漢字と平仮名で印象が変わるという話をしたばかりですが、それを利用して皆さんの言葉に対する苦手意識を少しでも軽減したいと思いました。
「文章力」と「ことば力」。少しでも馴染みやすく感じてもらえる方はどちらかな?ということで「ことば力」を選びました。

こんな風に、ただ単に文章を作る力ではなく、「ことば」をいろんな角度からたくさん考える力のことを「ことば力」ということにします。
ちなみに、文章の中であえて「言葉」と「ことば」を使い分けて行きますが、どうして今「言葉」を使ったのか、「ことば」を使ったのか、そういったことを考えながら読んでもらえるとそれだけでも「ことば力」は磨かれていくと思います。 少し上級編ですが、意識できる人はしてみてください。

ことば力が必要な理由

これからの時代にことば力が必要だ、と言いましたが、実はもうだいぶ前からことば力が大事な時代は始まっていました。根本的なことを言うならば人間社会にとって一番大事なこととも言えるのですが、それを話すと長くなってしまうのでまたの機会にしようと思います。

ともかく、なぜことば力が大事なのかと言うと、それはインターネットの世界が膨大な「ことばの集合体」だからです。インターネットを介してコミュニケーションが活発に行われる現代において、言葉を扱う力というのは必須とも言えます。

みなさんが普段ご覧になっているホームページやSNSも、全て言葉で構成されています。
「画像や動画もたくさんあるよ?」と思う方もいると思いますが、それでも言葉は絶対に欠かせません。
画像だけで全く言葉のないページは存在していません。少なくともそのページが「何をあらわしているページか?」ということは書いてあるはずです。
例えばインスタグラムの情報はほどんど画像が占めていますが、最低限「インスタグラムというページ」の「〇〇というユーザーの投稿」という情報はあります。それがなければ画像は情報としての意味の大半を失うことになります。

動画に関してはさらに顕著に言葉の必要性が際立ちます。
全く無言の動画というのは、あまりありません。BGMや背景としての役割であればあるかもしれませんが、それ単体で何かを伝えようという動画の場合、言葉を使う場面が必ずあるはずです。(よほど、芸術的な物でない限りは)
YouTuberであれば動画のサムネイル(一覧に表示される画像)も重要視され、サムネイルに適切な言葉を記載することは大事なことです。

当然、これまでのように新聞やテレビも基本的には言葉をメインとしていますね。これは言わずもがなです。
メールやラインなどのチャット形式のツールももちろん言葉でのコミュニケーションです。

さらに、今回のコロナ自粛でビデオ通話などを使ってオンラインでの交流をした人も少なくないかと思いますが、このオンラインでの交流は、実際に対面でコミュニケーションを取るよりもことば力が必要になると僕は思っています。
オンラインでのコミュニケーションはやはりまだ慣れていないこともあって、通常よりも余計なストレスがかかりやすいです。
ストレスがかかるとなると、コミュニケーションの時間を短くしたくなることが予想されます。
距離などの制限がなくなる分いままでよりも「いつでも」交流できるので、その分1回の交流時間を短くできるということもあるでしょう。
短い交流時間で効果的に成果を出そうと思うと、双方のことば力がある程度高いことが要求されます。
オンラインでの環境で、なるべく端的に、かつ適切に情報を共有し創造的な活動をするためには、「なんとなく」使っている言葉を「意識的な」ことばにする必要があるのです。

ことば力を身につける価値

ことば力を身につける価値というと、前述の通り「オンライン時代に必要な力を手に入れることができる」ことが挙げられます。 しかしそれ以外にもことば力を身につけることには価値があります。

考える力が身に付く

以前僕のブログで想像力と創造力を考えるという記事を書いたことがありますが、実はその核心の部分の力がこの「ことば力」です。
先ほど漢字にも意味があるという話もしましたが、「ことば」を漢字や文字に分解して、もう一度文章に組み立てて「ことば」にする、ということは、想像力と創造力をフル回転することになります。
そしてその力は「考える力」と言うことができます。
考える力というと漠然としていてイメージがつきにくいですが、「ことば」を駆使して想像力と創造力をフル回転させることを考える力だと捉えると、少しイメージがしやすくなるかと思います。 「ことば力」を磨くことは「考える力」を磨くことにつながります。

他人との衝突が減る

え?うそでしょ?と思うかもしれませんが、ことば力を磨くと他人との衝突が減ったり、イライラすることが減ります。
他人と衝突する時というのは、お互いに言葉足らずであったり、勘違いして受け取っていたり、そういった言葉のすれ違いが起こっていることが多いです。

詳しくは次回以降の実際に身につける段階の中で説明しますが、ことば力を磨く過程で重要な段階の一つに「自分が使うことば、相手が使うことばをよくみてみる」というものがあります。
この段階を経ていくと、「自分の言葉が相手にどういった印象を与えているのか?」「相手がどういう意味、感情でその言葉を使っているのか?」ということを考えるようになります。
これが身についてくると、会話などのコミュニケーションの中で感情的に反応する前に「この言葉を使うと相手はどう思うだろうか?」「相手は今自分に対してどう思ってこの言葉を使ったのか?」ということを自然と考えるようになります。
そうすると余計なことでイライラしなくなったり、相手をイライラさせる言葉を使ってしまう可能性も減るということです。
もちろんそれでも感情的になることもありますが、自分でコントロールできる機会が増えることは間違いありません。

「言葉にならないこと」にも敏感になる

ことばのことをたくさん考えるようになると、この世には言葉にならないこともたくさんあるということがだんだんと感じられるようになります。
僕はそれこそが人間にとって大事な部分なのだろうなと直感的に感じています。
このことに関しては全ての人にとって価値あることとは言えないかもしれませんが、僕にとってはとても大事なことです。
僕ももちろんそうですが、多くの人は自分の気持ちや考えていること全てを言葉にできているわけではありません。 それも含めて考えていくことが「ことば力」の真髄と言えるのだと思います。

まとめ

さて、「ことば力」というものがどういったものか、僕のイメージとみなさんのイメージを近づけることができたでしょうか?

「ことば力」とは、「言葉」「文章」「言葉にならないもの」を総合的に考える力ということでした。 そしてその力はインターネットを介して活発なコミュニケーションが行われるこれからの時代に誰しもが身につけるべき能力です。

勘違いしないでもらいたいのは、「ことば力」を身につけることは必ずしも「喋るのが上手になる」とか「プレゼンが上手になる」とか、そういったテクニックとは違うということです。
テクニックを身につけることも重要ですが、大事なのは身に付けたテクニックを発揮できない状況に置かれたときに、いかに自分で応用するかということです。
対面を前提としたテクニック、書面を前提としたテクニック、それぞれの根底にあるのが「ことば力」だと思ってもらってよいと思います。

是非これから一緒にことば力を磨いていきましょう!