わたるデザイン企画

「創造力」を考える

2020.04.17

ブログ

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こんにちは!
札幌でフリーデザイナー・コーダー・コピーライターとして活動しています、わたるデザイン企画の五十嵐です!

今回のテーマは「創造力」です。最近ではAIに仕事を奪われる時代にはどの職種でもこの創造力が必要だと言われてもいますが、ではその創造力とは一体何なのか、説明しようとすると意外とよくわからないことに気がつきます。よくわからない能力を身につけたり伸ばしたりするのは容易ではありませんから、まずは創造力とは何かを考えようと思います。

こういう時はまず言葉の意味を調べてみます。
「創造」という言葉を直接調べると「それまでなかったものを初めてつくり出すこと」と出てきます。ちなみに英語のcreate(クリエイト)もほぼほぼ同じような意味のようです。
つまり「創造力」とは「それまでなかったものを初めてつくり出す能力」ということになりますが、どうでしょう、そんな能力自分にあると思えるでしょうか? なかなか難しいと思います。だから世の中にいる創造力の高い人は憧れの対象となったり重宝されるのかもしれませんが、もう少し自分に落とし込めないとどうしようもありません。
ちなみに、創造という言葉にはもう一つ「神が万物をつくること」という意味もあります。もともと創造という言葉はそれだけ高次元のことを示していることが分かりますね。だからこの言葉をもっと噛み砕いて分かりやすくする必要があるでしょう。

「それまでなかったものを初めて作り出す」とは具体的にどのように行うのか?ということを考えてみます。
ここで思い出されるのが、ジェームス・W・ヤング著の『アイデアのつくり方』という本で語られていたことです。
次がその一節。

アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外のなにものでもない
(中略)
既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性を見つけ出す才能に依存するところが大きい


この本で著者は「アイデアを作る能力」について、その原理や方法、訓練法などを語っていますが、その内容を端的に表しているのが上記の抜粋部分であると思います。これは本を読んでいただくとわかると思いますが、確かに世の中のアイデアというのは必ず何か既存のものから発想を得て生まれていると納得できるはずです。
あるジャンルでは当たり前の知識や技術を他のジャンルに持ち込むだけでも「新しいアイデア」となります。そしてそういった思考をする人を「創造力のある人」と思うでしょう。言葉の意味とは別に、「創造力=アイデア力」というイメージを持つ人は多いと思います。
では仮に「創造力=アイデア力」だとして、「それまでなかったものを初めて作り出す」ということをこの「新しいアイデアを作り出す」と置き換えて考えるならば、創造とは「それまでにあったのもを組み合わせて新しい物を作り出す」ことと言えるでしょう。 少し創造力というものが具体的になってきました。

さらに具体的にするために、先程の抜粋の後半の文章を見てみます。
「既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性を見つけ出す才能に依存するところが大きい」とあります。
前半部分は先ほどの仮定からそのまま「創造力」と置き換えられますから、「創造力は、事物の関連性を見つけ出す力に依存するところが大きい」となります。言葉を統一するために「才能」という言葉を「力」に置き換えました。

では「事物の関連性を見つけ出す力」とはどんな力でしょう?
これがはっきりすると、だいぶ創造力というものが整理されそうですね。

この部分に関しては『アイデアのつくり方』の中で説明されてはいますが、如何せん難しい言葉で語られているのでなかなかすっきりとした言葉を引用できませんでした。ここは自分で整理するしかありません。
あくまでも僕が読んで解釈したことにはなりますが、この「事物の関連性を見つけ出す力」というのは「謎かけを考える力」とほぼ同じ力だと思います。
謎かけとは「不良学生とかけて、豊臣秀吉と解く。その心は?たいこう(退校/太閤)になる(wikipediaより)」のように、「AとかけてBと解く、その心は?C」という形で作られるなぞなぞの一種ですが、一見関連性のないAとBを繋ぐCという要素を見つけるという点で、先程の「事物の関連性を見つけ出す力」と非常にマッチしています。
謎かけには一定の作り方があって、まずお題となるA「不良学生」という言葉に対して、その言葉から連想されるキーワードを出します。「喧嘩する」「授業をサボる」「学ラン」「剃り込み」「退校になる」、、、などとキーワードが浮かんだら、これが答えのCの部分になります。あとは出てきたキーワードと同音異義語であったり、共通する要素を見つけてBにします。 先程の例では「退校」と同音異義語の「太閤」を見つけることで「不良学生」と「豊臣秀吉」が結びついたわけです。
AからCという要素を見つけ出して、同じようにCを含んだBを探すことで、AとBを結びつけています。 これがまさに「事物の関連性を見つけ出す力」なのだと思います。
ですからそれを踏まえて言い換えると、「ある事物を様々な要素に分解して、その要素を共通して持つ別の事物を見つける力」となります。


さて、みなさん薄々「あんまり分かりやすくなってないんじゃないか?」とお思いかもしれませんが、もう少しお付き合いください。 ここまでを踏まえて、創造力という言葉を言い換えてみます。

創造力とは。
「ある事物を様々な要素に分解して、その要素を共通して持つ別の事物を見つける力」を駆使して、 「それまでにあったのもを組み合わせて新しい物を作り出す」力のこと。

となりました。どうでしょう、わかりやすくなったでしょうか?微妙ですね。笑
少し強引ですが、さらに簡単にすると次のように言えると思います。

創造力とは「分解して考える力」と「組み合わせて考える力」を合わせた力のこと。

どうでしょうか、少し分かりやすくなったでしょうか。
ちなみにこの定義を採用するならば、僕がこの記事の中で行っている思考も創造力を使っていると言えます。「創造力」という言葉を様々な方法で「分解」して、それを新たに「組み合わせ」直して別の言葉にまとめました。こういった考え方が僕の思う創造力です。

創造力の特徴としては、創造力を駆使して作られたものの方が、元のものよりも「行動を促すもの」だということです。 「創造力」という言葉のままでは何をどうしたらいいかわからなかったことが、「分解して考える力と、組み合わせて考える力を合わせた力」と言い換えることで、「じゃあとりあえず分解して考えることから始めようか」と、一段階具体的な行動が生まれます。それが創造力を発揮するべき1番の理由だと僕は思います。


皆さんも何かを創造的に考えたいと思った時は、「分解して考えること」と「組み合わせて考えること」、そしてその結果生まれたものが「これまでよりも行動を具体的に促すものかどうか」という3つの視点で考えてみてはいかがでしょうか。