わたるデザイン企画

ことばを受け取るということ

2020.09.19

ことば力

読了目安時間:(約字)

こんにちは!こんばんわ!
札幌でフリーデザイナー・コーダー・コピーライターとして活動しています、わたるデザイン企画の五十嵐です!

今日は「ことば力」のテーマですが、これまでの「ことば力は大事だから磨きましょう!」という内容とはあえて逆、「ことばじゃなきゃいけないのか?」ということを考えてみようと思います。

というのも、「ことばで伝えるのが苦手だ」という人にこれまでも何度も会ってきて、そういう人たちに無理に「ことば力を磨こう!」というのも何か違うよなぁとはずっと考えてきていて、そういう人たちにはじゃあどう伝える力を伸ばしていってもらったらいいんだろう?ということを考えたいなと思ったのです。

僕はコピーライターとしても仕事をしていますが、じゃあことばで伝えるのが苦手な人は僕が代弁してあげればいいか?というとそうでもなくて、ちゃんとその人が伝えたいことをその人自身が伝えることをサポートしたいと思うと、ただ闇雲に「ことば力を磨こう!」というだけでは足りないなと思います。

というわけで、ことばで伝えるということを改めて考えようと思います。

苦手意識の発生源

これまでに出会った、ことばで伝えることに苦手意識を持っている人のほとんどは「わたしは言葉で伝えるのが苦手なんです」と言っていました。

そんな時僕はいつも「いやいや、今きちんと『言葉で伝えるのが苦手』ということを言葉で伝えてくれたじゃないですか!」と心の中でツッコミを入れています。

本人からすればそんなこと言われても屁理屈にしか聞こえないでしょうから直接言うことはないですが、でもこの考え方が実はとても大事なんです。

「ことば」も「伝える」もどちらもすごく意味の広い言葉ですよね。
特に「伝える」ということは、「誰に」「何を」「どうして」「どうやって」などと考えるととにかくいろんな状況で必要なことが変わってきます。

大人にお使いを頼むとの子供に頼むのとでは当然伝え方は変わりますし、伝える方法も言葉なのか絵なのかジェスチャーなのか、バラバラです。言葉で伝えるにしても、話し言葉なのか書き言葉なのかでも違います。

苦手意識って厄介で、一度苦手と思ってしまうと「カテゴリー」そのものを苦手だと思ってしまうんですが、実際には「これは苦手だけどこっちは意外とできちゃう」みたいなことがあるんですよね。

だから最初に例にあげたみたいに、「今伝えられてるよ!」っていう瞬間はたくさんあるんですが、それはあくまでも外から見た時の話で、本人にとっては認識は違うのだと思います。

この認識の違いがなぜ生まれるのか簡単に言ってしまうと、「理想をどう思い浮かべているか?」というところの違いが原因だと思います。

端からみると「言いたいこと言えてるじゃん、伝わってるよ!」と思うことでも本人は「うまく伝えられていない」と感じるのは、「本人が望んだ結果が得られていないこと」に終始すると思います。

本人のイメージの中で、「こう伝えたい!」「相手にこう理解して欲しい!」という願望があって、それと結果が一致していない場合は「うまく伝えられなかった」と思う。

これは誰でも同じなのですが、問題はそのイメージがどれだけ具体的だったか?という部分です。
ことばに対して苦手意識があろうとなかろうと、コミュニケーションにおいて「どう伝わって欲しいか?伝わった結果どうなって欲しいか?」ということを考えるのは重要です。

そして多くの人はそんなこと考えることもなく無意識にコミュニケーションを行います。事前に「理想の状態」のイメージを十分に行っていない場合、結果に対して「もっとできたはず」と思ってしまう人は少なくないと思います。つまり、多くのコミュニケーションが「失敗した、足りなかった」という印象になってしまうのです。

失敗体験が積み重なれば苦手意識を抱くのも当然で、苦手意識があると余計チャレンジもしにくくなって成長もしにくくなります。負のスパイラルというヤツですね。

これではなかなかどうして、抜け出すのは困難です。

ことばを受け取るということ

この「ことばに対して苦手意識を持った人にどうやって伝える力を伸ばしていってもらうか?」という問題の最大の壁は、「ことばに対して苦手意識を持った人はこんな長ったらしい文章は読んでくれない」ということではないでしょうか?あるいは、読んでくれる、話を聞いてくれたとしても、苦手意識が邪魔をしてうまく内容を理解してもらえないかもしれません。

ではどうすれば良いでしょうか?

その答えが、今回の記事のタイトルだと思います。

「ことばを受け取るということ」

先ほど紐解いたように、多くの人がコミュニケーションに対して「失敗体験」の方を多く持っています。その中でも強く苦手意識を持ってしまった人は、なかなかその中から抜け出せません。

まず大前提として、別に苦手意識があっても良くて、伝えることが苦手でも全然悪いことではないということを押さえておきましょうか。

僕がことば力を提唱するのはあくまでも「クリエイティビティを育てる1つの方法」であって、「ことば力がないからクリエイティブになれない」ということを言っているわけではありません。

それを前提とした上で、「もっとことばで伝えたいけれども、でもどうしても苦手なんだ」という人が目の前にいた時に、自分は何ができるのか?ということを考えよう、という話をしています。

そして、その1つの方法として僕が今考えているのが、「相手のことばを受け取る」ということを意識してみましょう、ということです。

ことばに苦手意識のある人に言葉で納得させようとしたり、無理やり言葉に触れさせてなれさせようとしたりすることはきっとマイナス効果なのだと思います。
それよりも、さっき紐解いた「失敗体験からの苦手意識」を少しずつ解いてあげたらどうでしょうか?
その人が苦手だと思いながらも一生懸命に発した言葉を、全力で汲み取ってあげる、受け取ってあげる努力をしてみたらどうでしょう?

そして「こういうことが言いたかったのかな」と返してあげてみる。相手の言いたいこととは100%一致していないかもしれないけど、もしかしたら「あ、少し伝わったかも」と思ってくれるかもしれません。そうしたらそれは、その人にとっての伝えることの「成功体験」になります。

それを少しずつ積み重ねていけば、そのうち苦手意識がやわらいで伝えるということにポジティブになるのではないでしょうか。

まとめ

今回、ことばに対してネガティブなイメージを抱いている人にどうアプローチしようか、と考えた時に、最初は「こちらがわかりやすく伝えるべきか?」「ことば以外、絵とかを駆使して伝えることを苦手に思わなくてもいいと伝える?」とか色々と考えましたが、結局のところ、まずこちらが全力で受け取ってあげるというのが一番効果的なのではないか、と思い至りました。

まずはこの方法を試してみて、うまくいかなければまた違う方法を考えて、そうやって少しでも「ことば」を楽しめる人が増えたらいいなと思います。